樒とは植物の名前で、マツブサ科シキミ属に分類されている常緑性小高木の一種です。
仏事や神事とも関わりが深いこの樒は、寺院だったり墓地で植栽されていることが多いです。
また抹香や線香としても使われていますから、案外身近な存在だといえるでしょう。
ちなみに樒とは別名が沢山あって、シキビやハナシバ、ブツゼンソウやコウノキなどとも呼ばれます。
樒とは一般的に3m前後の高さに成長しますが、中には10mを超えるものもあります。
花屋に並ぶ切り花は50cmくらいのもので、葬儀や法要などの仏事に用いられます。
主に関西地方での葬儀で使われることが多く、逆に関東地方では少し珍しいです。
余談ですが、榊に似ているものの別の植物なので、混同しないように注意が必要です。
樒の淡黄色の花は3~4月頃につけるもので、援助や甘い誘惑といった花言葉があります。
花言葉にはもう1つ猛毒があって、実際に毒を持っているので取り扱いには気をつけたいところです。
樒は花持ちが良いといわれていて、まるで力強く生きるような姿が永遠の魂を連想させます。
名前の由来は1年を通して鮮やかな緑色という説と、毒を持つ悪い実の意味からそう呼ばれるようになった説があります。
香りが強く独特のものを持っているので、香の花や香の木とも呼ばれ、お焼香の抹香の原料に使われています。
この香りと毒が邪気払いや故人を悪霊から守るという考えのもとになり、かつてはお清めや悪霊除けなどにも活用されてきました。
寺院や墓地の近くで見掛けることが多いのは、獣が香りを嫌うことも理由の1つです。
樒は鑑真が唐から人へ持ち込んだといわれています。
このことが仏教との関わりの切っ掛けになっており、今日まで仏事や神事にも用いられているわけです。
真言宗の開祖で知られる空海が修行で使っていたという話も存在します。
現代では、葬儀の会場に飾られたり、供花や花輪として贈られることもあります。
他にも祭壇や末期の水、枕飾りと広く活用が行われています。