葬儀を含む冠婚葬祭で振る舞われるものの1つに、いわゆる精進料理があります。
精進料理とは仏教の戒律に基づく料理のことで、煩悩などの刺激を避けることを目的に考えられたものです。
元々は中国から伝わった文化ですが、やがて仏教色の薄い日本料理として発展しました。
本来の意味の精進料理は、動物の肉を始めとして、ネギなどの避けるべき五葷と呼ばれる食材があります。
特に動物性の食材は禁忌とされているので、葬儀で提供される料理としては最も守るべき、重要なマナーだといえるでしょう。
また、仏教ではお布施などで野菜や豆類、穀物の提供を受けて食べるのが基本ですから、精進料理もまたこれらを中心に調理して料理が作られます。
本場インドの初期の仏教においては、乳製品を含めて摂取が認められていたくらいに割と寛容でした。
しかしその後、大乗仏教の普及によって、菜食料理の発達に伴い、肉や乳製品が禁じられるようになります。
近年の日本では、葬儀の後に火葬場から戻った際に、精進落としとして食するのが一般的です。
精進落としは別名、精進上げや通夜ぶるまいともいい、不幸に伴い通常の食事を断っていた人が、忌明けに食事を戻すのがこの精進落としというわけです。
精進料理とは違い、精進落としは肉や魚をOKとすることが多く、元になった料理ほどの厳しいマナーはないです。
ただし、食材が自由に使える分、アレルギーには注意して食材を選ぶことが大切です。
葬儀で精進落としをいただく場合は、参列者の立場に合わせて、正しい順番で席につく必要があります。
僧侶は一番上の立場なので上座、以下は世話役の代表や会社関係者、友人や近親者に親族といった順番が原則です。
喪主が参列者にお礼を述べたらお酌をして回り、それから料理をいただく流れとなります。
会食は1回あたり1時間半が限度の目安なので、あまり長引かないように配慮しましょう。
食事が落ち着き一通り済んだら、喪主や親族の代表がお開きの挨拶をするのが正解です。”