和讃とは、仏様やお釈迦様、仏教の経典などを日本語で賛美する歌のことを言います。元々仏教は、インドや中国などを経由して日本に入ってきた教えですから、仏教の経典や讃歌などはインドや中国で使用されてきたサンスクリット語や漢語などの言葉で書かれています。そのため、経典などをそのまま読んでも日本人には理解できません。
それで、仏教経典や讃歌を日本人でもわかるように日本語に翻訳したものを和讃と言います。和讃の原型となる「讃歎(さんだん)」は奈良時代に作られたようで、のちの平安時代の中期には定着し、歌の形式も七五調と覚えやすかったことも手伝って民衆などにも広く用いられていたことがわかっています。
さらに鎌倉時代には仏教の布教のために浄土宗の開祖が本格的に和讃を作りました。のちに他の宗派でも用いられるようになっていったようです。
では現代では、和讃はどうなっているのでしょうか。和讃は現代では受け継がれており、お寺などで檀家の方など一般の方々にも伝承されています。また、サークルが開催されている地域もあり、古くからある和讃が途絶えることはありません。
それどころか、和讃を発展させ普及するために、発表会などの催しがされて、全国規模の大会も開催されています。加えて和讃から派生した御詠歌は、巡礼歌とも呼ばれ、霊場をめぐる巡礼者たちが唱える歌ですが、歌に節がつけられるなどして独自の進化を遂げて、全国に広まっています。
元々、詠歌は声を長く伸ばしてうたう方法で、和歌を詠むときなどに使用しているため、歌を詠む会などではなじみの方法です。また、和讃は様々な日本文化にも影響を与えています。例えば、民謡や歌謡曲、演歌などの歌唱法にも影響がみられるようで、日本の音楽にも大きな影響を与えていることがわかります。
このように和讃は、仏教の大元に流れを持ち、日本で独自の発展を遂げ、日本の音楽や文化にも根強い影響を与える歌と言えるでしょう。