「以芳忌」とは、仏教における二七日法要のことを指します。
「以芳忌」という言葉は中国語であり、中陰の期間におこなわれるのが一般的でした。仏教では亡くなった命は輪廻転生をするという教えがあり、命日から数えて49日の間は故人の生前のおこないを仏によって審査されます。
最終日の49日目に生まれ変わる世界が決まるのですが、この決定は49日の間、7日ごとに審査されるのが特徴です。そこで「以芳忌」を7日ごとに遺族がおこなって、故人が生前に過ったおこないをしていた事について釈迦如来に許しを乞うという意味があります。
「以芳忌」という言葉には芳しい香りという意味が含まれていて、故人が生前におこなった素晴らしい行動や積まれてきた徳をあらわします。そのため、「以芳忌」を執り行う時は、遺族たちは故人の良き行動を思い起こしながら祈りを捧げる必要があります。
初七日や三十九日・四十九日であれば、近しい家族と親族・知人が同席して僧侶の読経とともに法要をおこないますが、「以芳忌」は家族だけでおこなって他の親族や僧侶を伴わないのが一般的です。
故人の祭壇の果物と野菜のお供えをして、お線香を手向けて静かにお祈りをします。あの世へと旅立った故人が、生まれ変わるための最初の関門である裁きを受ける期間が49日間であり、二十七日法要や初七日は仏に対して故人がよき裁きを受けられるようにと伝えるものです。
その中で「以芳忌」は、親族が最後に故人に対して直接おこなえる祈りと呼べます。