釘打ちとは葬儀で用いられる用語で、一言でいえばお棺のフタを釘で打ち付けることを指します。
目的は遺された人が故人とお別れをする、あるいは気持ちにけじめを付けるなどで、封印的な意味で捉えられることもあります。
いずれにしても、フタを釘で打ち付ければ故人はもう出られませんから、後悔しないようにお別れをして釘打ちを済ませることが大切です。
古くは死の穢れを封じる為に釘打ちが行われていましたが、同時に病気の蔓延を防ぐ意味もありました。
一方では、不意にフタが外れて故人がお棺の外に出てしまわないようにする、移動の安全性を考えた目的の意味も含まれました。
現代では土葬ではなく火葬が主流ですから、病気の心配はないですし、移動もそれほど気を使わずに済むようになっています。
釘打ちは喪主を始めとして、血縁の強い人から順番に打ち付けていくのが一般的で、頭の方から小石を使って1打ちずつ打っていきます。
ただし、これはあくまでも釘打ちの一例ですから、多様化している近年では最後に皆で1本の釘を打つ簡易的なケースや、全く釘打ちをしないケースもあります。
改めて考えると、釘打ちとはお別れの意味合いが強く、十分に故人の顔を見て別れの言葉を掛けてから出棺を見送る、そういう儀式の目的が見えてきます。
当然ですが、一度打ち付けた釘は簡単には外せませんから、失敗してやり直すことにならないように、お棺に入れるものには細心の注意を払うことが重要です。