命が尽きる瞬間の家族を看取るのは辛いことですが、臨終に立ち会うのは長年連れ添った家族にとって当然の役割ですし、大きな意味を持っています。親しい人を一度も看取ったことが無い人は、多くの不安を抱えながらその瞬間を迎えることになりますが、臨終までの期間を一度経験しその瞬間に立ち会うことで、自分自身が持っている死への恐怖を和らげることにも繋がりますから、どんなに辛くても逃げること無く看取ることが重要です。
近年は癌が日本人の死因第一位になっていることもあり、病院に限らずホスピスで最期を迎える人は少なくありません。ホスピスでは延命治療をせず、患者の痛みを和らげ穏やかに最後を迎えられるようサポートしますが、どんな場所であろうと臨終に立ち会う家族がいることは幸せですし、家族はその時までの間に覚悟を決めると同時に、自分の役割をしっかりと理解しておくべきです。
病院で最期を迎える人にとっては、病院の中が日常になりますから日々不安との闘いとなりますが、患者以外はなかなかそれを理解できません。家族の役割は、最期が近づいている人に安らぎを与えることです。たとえ話すことが無かったり患者が寝ていたとしても、手を握ってあげるだけで温もりや安らぎを感じてもらうことができます。
愛する家族の命がそう長く無いと突然知らされた場合、多くの人は混乱しますが、臨終を迎えるまでの間、いかに長い時間接することができるかは、看取る人のその後の人生に少なからず影響を与えます。このため命が尽きようとしている家族のためにも、できる限り一緒にいられるよう努力すべきです。
意識が無くなると二度と話すことができませんから、大事なことや感謝の言葉はそれまでに伝えておきます。癌も含めて一般的な病気であれば、担当医は患者の意識が混濁する時期を、ある程度判断できますから、こまめに確認しておくことも大切です。
残された時間が僅かだと理解し、後悔せずに臨終の瞬間を迎えられるためにも、できる限り時間を作って会いに行くことこそが重要と言えます。